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じゃがいもはなぜ水にさらす必要がある?栄養素などの変化について

2024年9月1日野菜

じゃがいもはなぜ水にさらす必要がある?栄養素などの変化について

じゃがいもを調理する際、皮をむいた後に水にさらす場合が多いですよね。

ただ、これはどんな理由で行っているのでしょうか。

今回は、じゃがいもを水にさらすことの利点や欠点について詳しく解説いたします。

じゃがいもを水にさらす必要はある?

じゃがいもを水にさらすことは別に必須というわけではありません。

料理によっては水にさらした方が良い場合もありますし、逆にさらさない方が適している場合もあります。

まずは水にさらすことによって、利点のあるケースについて見ていきましょう。

じゃがいもを水にさらすメリット

煮崩れしにくくする

じゃがいもを水にさらしておくと、料理の際に煮崩れしにくくなります。

じゃがいもの煮崩れにはデンプンとペクチンの2つの成分が関与しています。

じゃがいもにはデンプンが豊富に含まれており、加熱して水を加えると糊化して膨らむ性質があります。

それにより、細胞同士の結びつきが弱まり、煮崩れが起こります。

そこで、じゃがいもを水にさらすと、細胞膜のペクチンが水中の無機イオンと結合して不溶化し、細胞の中にあるデンプンが水を吸うのを防ぎます。

これにより、煮崩れが起きにくくなります。

カレーや煮物などにじゃがいもを使う場合、この性質を利用することで形を保ったまま調理できます。

また、水にさらすことでデンプンを一部取り除くこともできます。

デンプンは水に溶けませんが、水中で沈殿するため、「殿粉(デンプン)」と呼ばれるようになりました。

焦げにくくする

デンプンは炭素を含む有機物なので、加熱すると焦げます。

デンプンを取り除くことで、焦げ付き防止になります。

じゃがいもは中まで火が通るのに時間がかかるため、フライパンで炒めたり揚げたりする際には、表面だけが焦げやすくなります。

あらかじめデンプンを取り除いておけば、生焼けを防止することにもつながります。


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変色するのを防ぐ

じゃがいもを切ってしばらく放置すると、切り口が茶色に変色することがあります。

これを「褐変」といいます。

じゃがいもを水にさらしておくと、この褐変を起きにくくすることができます。

じゃがいもが褐変するのは、ポリフェノールが酵素によって酸化されるためです。

また、チロシンというアミノ酸がチロシナーゼという酵素によってメラニンに変わることも原因です。

この変色は、空気を遮断することで防げるため、切った後すぐに水にさらすと良いでしょう。

ただし、長時間水にさらすと栄養が流れ出るので注意が必要です。

じゃがいも同士がくっつかないようにする

揚げ物にする際、じゃがいもから出る粘りでじゃがいも同士がくっつくことがあります。

特にメークインなどの粘質系じゃがいもは粘りが強く、フライドポテトにする場合などには水にさらしてデンプンを落とすことが重要です。

デンプンを取り除くことで食感も良くなります。


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じゃがいもを水にさらすデメリット

今度はじゃがいもを水にさらした場合のデメリットについて見ていきましょう。

食感を損なうことがある

じゃがいもを水にさらすことで煮崩れを防ぐ利点がありますが、煮崩れを避ける必要のない料理ではデメリットもあります。

例えば、マッシュポテトや粉ふきいもなどのホクホクとした食感を楽しむ料理では、水にさらさない方が良いです。

水にさらすことでペクチンの作用により、茹でてもデンプンが膨張せず、ホクホクとした食感が失われます。

また、ハッシュドポテトなどの粘りを活用した料理では、水にさらしてデンプンを取り除くと、じゃがいも同士がくっつきにくくなります。

このような場合、変色を防ぐために短時間だけ水にさらすのが良いでしょう。

水溶性の栄養が失われる

じゃがいもを水にさらすことで、一部の栄養素が流出することがあります。

特にビタミンCは水溶性であり、水にさらすと失われやすいです。

じゃがいもには可食部100gあたり28mgのビタミンCが含まれていますが、水にさらすことで流れ出てしまいます。

また、カリウムも水溶性であり、こちらも水に溶けだしてしまいます。

長時間水にさらすと栄養素を無駄にしてしまうため、注意が必要です。

必ずしも灰汁ぬきは必要ない

ごぼうやなすなどの野菜は、水にさらすことでアク抜きをします。

アクとは苦味やえぐみを引き起こし、料理の味を損ねる成分の総称です。

ごぼうやなすなどのアクはポリフェノールなどの水溶性成分なので、水にさらすことで除去できます。

一方で、じゃがいもに含まれてるアクはソラニンやチャコニンという有害物質です。

これらは害虫などから身を守るために生成され、特に日光に当たると増えます。

ソラニンやチャコニンは、苦味やえぐみを感じさせるだけでなく、中毒を引き起こし、腹痛やめまいなどの症状を引き起こすことがあります。

しかし、これらの物質は水にほとんど溶けないため、水にさらすだけでは除去できません。

また、加熱しても分解されないため、取り除くには芽や皮を厚く切り取る必要があります。

ソラニンやチャコニンが多く含まれていない場合、苦味はほとんど感じられないため、じゃがいもを水にさらす必要はありません。

品種によっても影響は異なる?

じゃがいもには様々な品種がありますが、デンプンの含有量が異なるため、食感に多少の違いがあります。

男爵いもやキタアカリなどのホクホクとした品種はデンプンが多く、メークインやはるかなどのしっとりとした品種はデンプンが少ないです。

茹でたときにデンプンが膨張し、細胞壁が壊れてホクホクとした食感になります。

品種の使い分けは好みによりますが、水にさらすかどうかは煮崩れや変色を防ぐかどうかによります。

しっとり系のメークインなどは煮崩れしにくいので、煮崩れを防ぎたい料理にとくに適しています。


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まとめ

じゃがいもを水にさらす行為は、必ずしも必要なわけではなく、作る料理などによって使い分けていく手順といえます。

メリットももちろんありますが、一部の栄養が失われたり、食感にも影響を及ぼしますので、やるかどうかはよく考えたいところです。

作りたい料理にこの手順が必要かどうか、事前によく調べておくことをおすすめいたします。